Japanese
English
特集 滑面小胞体をめぐる諸問題
Glucose-6-phosphatase(G-6-Pase)欠損症の分子機構と肝病変
Molecular aspects of G-6-Pase deficiency and its hepatic disorder
杉 和洋
1
,
藤山 重俊
1
,
佐藤 公望
1
,
佐藤 辰男
1
Kazuhiro Sugi
1
,
Shigetoshi Fujiyama
1
,
Kinmochi Sato
1
,
Tatsuo Sato
1
1熊本大学医学部第3内科
pp.694-697
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900684
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肝臓は肝外からの栄養成分を取り込み代謝し,それらを他臓器に輸送動員する主要臓器である。糖代謝の場合,いったん,血中よりグルコースを肝内に取り込んだあと,グリコーゲンとして貯蔵し,必要に応じてそれをグルコースに変え,血中に放出して,血糖を維持している。肝グリコーゲンの主要な分解系は,図1に示すごとく,グルコース-1-リン酸(G-1-P),グルコース-6-リン酸(G-6-P)を経てグルコースへと至る経路であり,それぞれホスホリラーゼ,ホスホグルコムターゼ,グルコース-6-ホスファターゼ(G-6-Pase)により反応が行われる。これらのグリコーゲン代謝系酵素の遺伝的活性欠損により,種々の臓器におけるグリコーゲンの異常蓄積をきたし,多彩な臨床症状を呈する病態は,古くよりグリコーゲン病(糖原病)として知られている。近年,これら酵素異常の生化学的,分子生物学的解析が進歩し,その病態発現の分子機構が解明されつつある。
本稿では,グリコーゲン病の中でもとくに肝障害を招来するG-6-Pase欠損症に焦点を絞り,その発現の分子機構に関する最近の知見,および臨床症状について述べ,自験例を紹介したい。
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