Japanese
English
特集 蛋白質の細胞内転送とその異常
分泌顆粒内における蛋白質のプロセシング
Proteolytic processing of proteins in secretory granules
田中 滋康
1
,
黒住 一昌
1
Shigeyasu Tanaka
1
,
Kazumasa Kurosumi
1
1群馬大学内分泌研究所形態学部門
pp.107-115
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900539
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はじめに
ホルモンをはじめとした多くの生理活性ペプチドは,はじめに分子量の大きな前駆体として生合成され,これが細胞内の移行過程でプロテアーゼの働きにより限定切断や種々の化学的修飾(糖鎖付加,S-S結合,アミノ末端アセチル化,カルボキシル末端アミド化など)を受け活性型となり(プロセシング),細胞外へ分泌される。通常,前駆体はそれ自身では生理活性を示さず,細胞内プロセシングを受けてはじめて活性物質として機能することから,細胞内プロセシングは蛋白質の広義の生合成過程の一部としてだけでなく,多様な生体機能の調節にかかわる重要なステップと考えられる1,2)。近年,分子細胞生物学的な研究により,プロセシング酵素のcDNAのクローニングや,前駆体蛋白質の限定切断部位の特異的なアミノ酸配列とプロセシング酵素との関係が明らかにされつつある。本稿ではプロセシング酵素に関する最近の知見を概観しつつ,前駆体蛋白質の限定切断が細胞内のどの部位で,いかなる機構により行われるかについて,形態学的な側面から論じたい。
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