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特集 神経系における液性情報伝達機構
神経分泌顆粒の軸索流について
Studies on the axonal flow of neurosecretory granules
内薗 耕二
1
Koji UCHIZONO
1
1東京大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.322-332
発行日 1974年4月10日
Published Date 1974/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903620
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I.はじめに
神経系においては特殊な無軸索細胞(amacrine cells)をのぞけば,多くの神経細胞は長さの差はあれ必ず細胞体の直径に比して著しく長い軸索を持っている。最も顕著な場合,たとえば脊髄の運動細胞にあっては,その軸索は細胞体の106倍にも及ぶ長さを持っている。今,細胞体をテニスのボール大のものとするとその軸索の長さは1000〜2000Kmに達する。軸索流はこの長い経路に沿っておこる物質の移動を取り扱うものである。神経細胞は核の外に,ミトコンドリア,ゴルジー体,粗面小胞体,滑面小胞体,lysosome,multivesicular body,DNA,RNA,protein等々多くのorganellesや化学物質を含有している。神経細胞の新陳代謝にこれらのorganellesが深くからみ合っていることが想像される。
これに反して,神経の軸索部にはわずかな種類のorganellesしかなく,わずかにミトコンドリア,microtubules,neurofilamentsなどを含有するにすぎない。細胞体に比して軸索にはRNAの量が著しく少ないことが2〜3の学者によって古くから指摘されていた(Edströmet al.,19621);Koenig,1965)2)。
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