特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅲ.間葉系細胞株
白血球系細胞
リンパ球
ヒトリンパ芽球白血病:MOLT-4
簑和田 潤
1
1林原生物化学研究所・藤崎細胞センター
pp.472
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900459
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■樹立の経緯
1971年3月19日,19歳男子の急性リンパ芽球白血病の再発時の末梢血(WBC:7×104/mm,芽球90%)を用いた。6%Dextranで赤血球分離後の白血球を1×107 cells/mlの濃度でRPMI 1640に10%の胎児ウシ血清,100u/ml penicillin,50μg/ml streptomycinを含む培養液,約20mlずつの浮遊細胞培養を5本の密封したガラスフラスコで,37℃で行った。培養の目的は,当時,ヒト白血病のウイルス原因説,白血病特異抗原の存在説,などの解明研究に培養株の樹立はもっとも有効な方法とされていたためであった。約3ヵ月後,4本のフラスコに細胞増殖を認め,MOLT-1,-2,3-,-4と命名した1)。MOLTの命名は,当時樹立者,簑和田潤の所属していたRoswell Park Memorial Institute(Buffalo,NY,USA)の所長であったDr. George E. Mooreに依った。MOLTのMはMinowadaのイニシャル,OはDr. Ohnuma(患者の主治医)のイニシャル,Lはleukemicを示し,TはT lymphocyteを意味する。後にMOLT-1とMOLT-2は失ったが,MOLT-3とMOLT-4は以来現在まで維持されている。ちなみにMOLT-3およびMOLT-4は米国ATCCにも委託保存されている。
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