今月の臨床 胎盤—母児接点としての役割
Overview
2.胎盤研究の流れ—機能面
森山 郁子
1
,
斎藤 滋
1
,
飯岡 秀晃
1
,
一條 元彦
1
1奈良県立医科大学産婦人科
pp.958-959
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901833
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胎盤の物質輸送
胎盤における各種栄養物質の輸送機構は,invivo,胎盤スライス法,胎盤循環灌流法などの方法を用いてその検討がなされてきた.一方,近年,ヒト胎盤絨毛細胞より刷子縁部位を膜小胞として分離する方法が確立され,この膜小胞法で胎盤におけるアミノ酸の能動輸送には,Na+濃度勾配のみならずK+濃度勾配,Cl—濃度勾配さらには膜電位差などが関与していることが明らかとなった.また,グルコースに関しては,すでに5種類のトランスポーターが発見されそのうちの1型が主にヒト胎盤絨毛上皮に存在することが判明している.一方,アミノ酸のトランスポーターについては,その実体は明らかではないが輸送担体の精製同定がされつつある.
胎盤における脂質の輸送機構は不明の点が多いが,妊婦の高脂血の生理・病理的意義および妊娠中の脂質代謝も十分明らかでない.
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