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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅲ.代謝的に作用する薬物
代謝回転に作用する薬物
ヒスタミン代謝回転作用薬
Histamine/metabolic
長谷川 宏幸
1
Hiroyuki Hasegawa
1
1西東京科学大学バイオサイエンス学科
pp.500-501
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900273
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「概説」
ヒスタミンは哺乳動物では長らく肥満細胞を特徴づけるオータコイドと考えられてきた。典型的な組織肥満細胞のほか血液中の好塩基球,消化管粘膜上皮や皮膚上皮の上皮性肥満細胞(mucosal mast cell, epidermal mastcell)もヒスタミンを放出する。さらに胃壁上皮にはヒスタミンを放出するエンテロクロマフィン細胞に近い細胞群(EC-1ike cell)がある。とくに肥満細胞はほぼすべての器官に分布するので,摘出・手術を含む実験では肥満細胞によるヒスタミンを他と区別することが非常に困難である。事実,初期の摘出脳標品におけるヒスタミン代謝回転に関する実験では組織摘出までの間に肥満細胞由来のヒスタミンをくわえ込んだことを見逃すという混乱があったという(総説1))。肥満細胞のヒスタミンはcompound 40/80によって,放出可能なヒスタミンをほとんど放出してしまうのに対して,神経由来のものは比較的影響をうけない。また,遺伝的に肥満細胞を事実上欠いているマウス個体(W/Wv)***の組織中のヒスタミンは肥満細胞に由来しないと考えられる。これらいろいろな方法を用いた推定では,脳ではおおむね50%が肥満細胞に由来し,他はヒスタミン神経に分布すると考えられている(総説2))。神経性のヒスタミンは代謝回転がきわめて速く,半減期は30分前後という1)。
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