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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅲ.代謝的に作用する薬物
酵素活性に影響する薬物
エンケファリナーゼ阻害薬
Enkephalinase inhibitors
佐藤 公道
1
Masamichi Sato
1
1京都大学薬学部薬理学教室
pp.464-465
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900256
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「概説」
オピオイド受容体の内因性活性物質として最初に発見された2種のペンタペプチド,メチオニン-およびロイシン-エンケファリンは生体内の諸組織においてきわめて迅速に代謝・不活性化される。この代謝に関与する酵素として,図1に示すような数種の酵素が知られている1)。エンケファリンからTyr-Gly-Glyを切り出すエンケファリナーゼは,脳組織から見出された膜結合性の亜鉛含有中性メタロエンドペプチダーゼの一種であるが,ウサギ腎膜画分から見出されていた類似の性質を持つ酵素EC 3.4.24.11と同一であることが明らかにされた2)。本酵素の基質特異性は比較的高く,ダイノルフィン類やβ-エンドルフィンなどは基質にならないが,心房性ナトリウム利尿ペプチド,サブスタンスPはin vitroではかなり良い基質である。
最近,ラット・ウサギ・ヒトのエンケファリナーゼ分子のクローニングが行われ,742残基アミノ酸の一次構造が明らかにされた。それによると一つの膜貫通ドメインと六つの糖鎖結合部位を持ち,分子の大部分が細胞外に存在するエクトペプチダーゼ(ectopeptidase)である。
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