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実験講座
成熟哺乳類脳神経細胞の初代培養法
Primary culture of adult mammalian brain neurons
緒方 宣邦
1
Nobukuni Ogata
1
1九州大学医学部薬理学教室
pp.64-73
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900169
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種々の中枢神経機能の発現は,多くの場合,イオンチャネルの活動の変化によって引き起こされる。したがって,中枢神経細胞におけるイオンチャネルの働きの解析は,各種中枢神経機能の生理学的あるいは薬理学的研究にとってきわめて重要なものである。イオンチャネルはその性質上二つのタイプに大別することができる。一つは受容体に結合し神経伝達物質によりその開閉がコントロールされているもの(受容体結合チャネル)であり,もう一つは膜電位の変化により活性化されるもの(電位依存性チャネル)である。一般的に,前者は膜電位の変化には反応せず,逆に後者は化学物質には感受性を持たない。しかしながら,最近の多くの研究は,この原則が必ずしも成り立たないことを示している。中枢神経細胞に生体内活性物質あるいは薬物が作用する場合,その作用標的としては大きく二つの場合に大別できる。第一は神経伝達機構そのものに作用する場合であり,第二は神経伝達以外の部位に働く場合である。前者の場合においてはその作用点としてシナプス前,シナプス後の多くの部位が考えられるが,多数の生体内あるいは生体外物質が直接に受容体結合イオンチャネルの働きを修飾することが明らかになりつつある。後者の代表的な例としては種々の電位依存性イオンチャネルが考えられるが,いずれにしてもイオンチャネルは生体内活性物質や薬物の重要な作用標的であると考えられる。
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