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特集 小脳研究の未来
Ⅰ.発生発達
ゼブラフィッシュ小脳神経回路の発生と機能
Development and function of the zebrafish cerebellar neural circuit
清水 貴史
1,2
,
日比 正彦
1,2
Shimizu Takashi
1,2
,
Hibi Masahiko
1,2
1名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻動物器官機能学グループ
2名古屋大学生物機能開発利用研究センター
キーワード:
ゼブラフィッシュ
,
古典的恐怖条件づけ
,
全脳イメージング
Keyword:
ゼブラフィッシュ
,
古典的恐怖条件づけ
,
全脳イメージング
pp.3-8
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201301
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小脳は協調的な運動や運動学習の制御だけでなく,古典的恐怖条件づけや学習における報酬期待などの認知・情動機能にも関与している1)。小脳の発生と機能は主に哺乳類を用いて研究されてきたが,近年ゼブラフィッシュを用いた研究も発展してきた。ゼブラフィッシュは体外で発生し,初期仔魚期の体は透明であり(色素を含まない突然変異体も利用可能である),発生が早い。また,ゼブラフィッシュの脳は哺乳類の脳よりも小さく単純であるが,構造や機能が保存されており,脊椎動物の脳の発生と機能を研究するための汎用性の高いモデルになりつつある。更に,ゼブラフィッシュを用いた脳の発生と機能を研究するための様々なツールや手法が発展してきた。これらには,外来の遺伝子を持つトランスジェニックゼブラフィッシュや,脳の発生や機能に関係ある遺伝子の変異体がある。また,CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集により,興味のある遺伝子を破壊したり,改変することも容易である。神経回路機能の研究には,Ca2+インジケーターや電圧センサーを用いたニューロン活動のライブイメージングや光遺伝学ツールによる機能操作が可能である。仔魚期においては,脳の小ささを生かした全脳イメージングも可能であり,興味のある神経領域のみならず他の領域との関連性を調べることができる。
このように,ゼブラフィッシュを用いた研究は,他の脊椎動物では得られない重要な情報を得られる可能性がある。本稿では,ゼブラフィッシュの小脳発生と機能について哺乳類との比較を交えて概観する。
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