特集 新組織学シリーズⅠ:最新の皮膚科学
特集「新組織学シリーズⅠ:最新の皮膚科学」によせて
佐藤 伸一
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1東京大学大学院医学系研究科皮膚科学
pp.536
発行日 2020年12月15日
Published Date 2020/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201278
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皮膚は人体をおおい,外界との境界をなすが,単なる隔壁ではなく,それ自体生命の保持に絶対不可欠の多彩な機能を営む重要な臓器である。また,皮膚は人体最大の臓器でもあり,その面積は成人で平均1.6m2,皮膚のみの重量は3kg弱,皮下組織も加えると約9kgで体重の14%に及ぶ。皮膚の機能としては,対外保護作用を有することはいうまでもないが,加えて体温調節作用,知覚作用,エクリン汗腺・アポクリン汗腺・脂腺からの分泌排泄作用,コレステロール・ビタミンD3などを合成する作用,多様なサイトカインの産生による免疫調節機能など,生体に必須の機能を担っている。
前述のような皮膚の古典的な機能のなかでも,特に皮膚は外界と直接接する臓器であることから,免疫が展開される重要な場であることが認識されている。この観点から皮膚免疫を可視化する試みも広く行われており,本田哲也先生(浜松医科大学)に解説していただいた。また,脂質代謝という観点から皮膚の重要性,そして疾患との関連性については住田隼一先生(東京大学)に触れていただいた。
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