Japanese
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特集 心臓の発生・再生・創生
Ⅱ.心臓形成の制御機構
心臓発生・疾患とクロマチンリモデリング複合体
Chromatin-Remodeling Complexes in heart development and diseases
中川 博揮
1
,
竹内 純
1
Nakagawa Hiroki
1
,
Takeuchi K. Jun
1
1東京医科歯科大学難治疾患研究所
キーワード:
クロマチンリモデリング複合体
,
Baf複合体
,
心臓発生
,
ncRNA
Keyword:
クロマチンリモデリング複合体
,
Baf複合体
,
心臓発生
,
ncRNA
pp.536-542
発行日 2017年12月15日
Published Date 2017/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200725
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心臓は心筋だけでなく線維芽細胞や血管内皮細胞を含む10種類以上の細胞種から構成される。そのため,心臓研究は複雑で年々多角化してきているが,胚性幹(ES)/人為的多能性幹(iPS)細胞研究の進展に従って,心臓誘導や心臓再生を引き起こす因子の同定が注目されている1,2)。心臓の発生には様々な転写因子群(Tbx5,Gata4,Nkx2-5,Mef2cなど)が関与しており,これらの因子がエピジェネティック因子群と相互作用しながら心筋運命の決定や分化に深くかかわっている。エピジェネティック因子群のなかでも特にクロマチンリモデリング因子が心臓発生時期に沿った細胞運命,細胞維持,細胞増殖を心臓転写因子と共役して制御している。クロマチンリモデリング因子群で機能解析が進んでいるのがBrg1-BAF複合体および構成因子Baf60cである3)。更にヒストン修飾因子群や非コードRNA(ncRNA)と共役して,迅速に核内転写環境を活性化・不活性化することで,細胞・組織が環境変化に適応させていることが報告されている(図1)4-6)。
本稿では心臓発生・心疾患研究で報告が多い,クロマチンリモデリング複合体に焦点を当てて役割に関する最新の知見を概説する。
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