Japanese
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特集 認知症・神経変性疾患の克服への挑戦
Ⅲ.新たな技術開発によるチャレンジ
HGFによる筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する治療法の開発
Clinical trial of HGF in amyotrophic lateral sclerosis
青木 正志
1
,
割田 仁
1
,
鈴木 直輝
1
,
加藤 昌昭
1
Aoki Masashi
1
,
Warita Hitoshi
1
,
Suzuki Naoki
1
,
Kato Masaaki
1
1東北大学大学院医学系研究科神経内科
キーワード:
遺伝子変異
,
肝細胞増殖因子
,
筋萎縮性側索硬化症
,
再生医療
Keyword:
遺伝子変異
,
肝細胞増殖因子
,
筋萎縮性側索硬化症
,
再生医療
pp.344-348
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200466
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筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)は主に中年期以降に発症し,上位および下位運動ニューロンに選択的かつ系統的な障害を来す神経変性疾患である。経過は症例により異なるが,片側上肢の筋萎縮に始まり,反対側上肢,両下肢へ筋萎縮が進行して,その間に言語障害,嚥下困難などの球麻痺症状および呼吸筋麻痺が加わる経過をとることが多い。人工呼吸器による呼吸管理を行わないと,発症後2-5年で呼吸不全のために死亡に至ることが多く,ALSは神経疾患のなかで最も過酷な疾患とされる。有効な治療薬や治療法が限られており,早期に病因の解明とその成果に基づく基礎研究から臨床への橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)による治療法の開発が求められている。筆者らはALSラットに対してヒト型リコンビナント肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)タンパク質の髄腔内持続投与を行うことにより,明確な治療効果を確認した。更に,マーモセットおよびカニクイザルに対するHGFタンパク質の髄腔内持続投与による安全性(毒性),および薬物動態試験などの非臨床試験を行った。これらの結果に基づき,東北大学病院においてALS患者に対してファースト・イン・ヒューマン試験である第Ⅰ相試験を行い,髄腔内持続投与による安全性や薬物動態が確認された。まもなく有効性を確認すべく第Ⅱ相試験を開始する。
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