増大特集 生命動態システム科学
Ⅱ.数理生物学
5.細胞
(1)細胞集団の適応ダイナミクスと細胞状態の揺らぎ
野添 嵩
1
,
若本 祐一
2
Nozoi Takashi
1
,
Wakamoto Yuichi
2
1東京大学大学院総合文化研究科
2東京大学大学院総合文化研究科 複雑系生命システム研究センター
pp.464-465
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200041
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■はじめに
細胞集団の適応的なダイナミクスと細胞状態の揺らぎをつなぐ,という問題は“非遺伝的なストレス耐性獲得現象”の理解にとって重要である。この現象は遺伝的に均一な細胞集団がストレス環境下で遺伝子変異なしに適応度を上昇させるというもので,遺伝型と環境条件を定めれば細胞の適応度が一意に決まる,という素朴な考えでは説明できない。近年急速に発展している1細胞解析で“表現型のばらつき”が確認されているが,こうした1細胞レベルの表現型の違いが適応度の違いを生むならば,特殊な分子機構によらなくても適応ダイナミクスが起こることが期待される。果たしてそのような適応現象は実際に起こりうるだろうか。
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