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特集 血管壁
血管平滑筋の発生分化と特異的遺伝子発現
Development and gene regulation of aortic smooth muscle cells
三輪 岳志
1
Takeshi Miwa
1
1大阪大学微生物病研究所附属遺伝情報実験センター
pp.539-544
発行日 2006年12月15日
Published Date 2006/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100238
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血管系は管腔を一層に覆う血管内皮細胞(endothelial cells)とその外側を内皮細胞が産生した基底膜,その周辺を中膜形成する血管平滑筋細胞(smooth muscle cells),毛細血管ではペリサイト(pericytes)などの周皮細胞からなる壁細胞で構成されている。中膜は収縮弛緩することで血圧や血流を調節している。これら血管系細胞群の発生分化,形成に関する細胞科学的な解析や関連する遺伝子の解析が進み,その過程の理解が飛躍的に進んできた。血管平滑筋の増殖を制御する代表的な因子は内皮細胞が発現するPDGF(platelet-derived growth factor)とそのレセプターであるが,チロシンキナーゼ型レセプターTie-1,Tie-2とそのリガンドである壁細胞が分泌するアンジオポエチン(angiopoietin)は内皮細胞と血管平滑筋細胞の接着や増殖などを調節している。
本総説では血管平滑筋細胞とは何か,特に発生における組織細胞の由来および成体における各種外部刺激による細胞形質変換について概説し,平滑筋の発生分化を牽引する血管平滑筋細胞特異的遺伝子発現がどのようなメカニズムで行われるのかを,典型的な平滑筋マーカーである血管平滑筋α-アクチン(Smooth muscle α-actin;SmαA)を例にして解説する。
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