特集 古典的代謝経路の新しい側面
特集「古典的代謝経路の新しい側面」によせて
栗原 裕基
1
,
藤田 道也
2
1東京大学大学院医学系研究科代謝生理化学
2浜松医科大学
pp.288-289
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101625
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解糖系やTCAサイクルをはじめ,現在多くの教科書に掲載されている代謝経路の概略は附表に示すように1960年までにほぼ確立され,現在では古典として位置づけられている感があります。本特集号は,こうした古典的な代謝経路にかかわる酵素や分子の新しい機能と調節機構,近年になって同定された代謝経路の実体などを中心に,教科書的な代謝学を新しい視点から見つめ直すことを趣旨として企画しました。
今日,代謝経路に関する研究は,様々な研究領域と関連しながら,この10年ほどで大きく発展しています。その要因として,① イメージングやオミックス解析などの新手法の開発,② 個体レベルの遺伝子機能解析の充実,③ 疾患原因遺伝子同定の急速な展開,④ バイオインフォマティクスによるデータ解析の高度化,などが挙げられます。さらに,ポストゲノム研究の潮流の一つとして,生命現象を大きくシステムとして捉え,それを支える要素や階層間の連携という観点から,代謝経路の新しい生理的意義が明らかになってきている点も見逃せません。
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