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特集 細胞の少数性と多様性に挑む―シングルセルアナリシス
A.シングルセルアナリシスへ向けた技術開発
質量顕微鏡による単一細胞解析―イメージング質量分析の試み
Trial of the single cell analysis imaging mass spectrometry with the imaging mass microscope
鶴山 竜昭
1
,
矢島 由佳
2
Tsuruyama Tatsuaki
1
,
Yajima Yuka
2
1京都大学医学研究科附属総合解剖センター 医学部附属病院病理診断科
2京都大学医学研究科附属総合解剖センター
pp.119-126
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101590
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Ⅰ.光学顕微鏡における観察からイオンによるイメージングへ
質量分析(mass spectrometry;MS)は,対象物質を電荷に対する質量比(質量電荷比:m/z値)により分離,同定する分析法である。この分析法の新しいアプリケーションとして,直接,生物学的サンプルにおける代謝物,脂質,ペプチドおよびタンパク質の二次元分布を可視化するイメージング質量分析(imaging mass spectrometry;IMS)が注目されている。実際に二次元分布データは試料の組織学的情報(癌細胞集団の分布など)と照合することで,例えば癌細胞に特有の生体物質(バイオマーカー)を同定することが期待されている。さらに進んで単細胞レベルでの解像度を得る“質量顕微鏡”が開発され始めている。
IMSのワークフローは試料調製,質量分析,データ解析,可視化などのプロセスからなる(図1)。質量分析の段階では,① 高い空間解像度を得ること,② 脱離イオンの分離および同定,が行われる。質量分析部ではハード・ソフトの進歩が著しいが,こうした試みは成書に多くを譲り,この総説では主に,イメージングにおける様々な試み,前処理によるシグナル強度を増加させる試みなどについて述べる。
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