増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:5回膜貫通型◆受容体の遺伝子:CD47
血球貪食症候群とCD47の発現低下
竹中 克斗
1
,
赤司 浩一
1,2
Takenaka Katsuto
1
,
Akashi Kouichi
1,2
1九州大学病院 遺伝子細胞療法部
2九州大学大学院医学研究院 病態修復内科学
pp.438-439
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101504
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免疫監視機構において,自然免疫系のマクロファージは異物や老化した細胞,傷害を受けた細胞を認識し,貪食によって除去する主要な免疫監視機構の一員である。近年,マクロファージの貪食を負に制御するメカニズムが明らかにされ,注目を集めている。この制御機構は,マクロファージ上に発現する受容体SIRPA(signal regulatory protein alpha)と,ほぼすべての細胞に発現するリガンドCD47がその役割を担っている。SIRPA-CD47系は生体内で“marker of self”あるいは“don't eat me”シグナルとして,マクロファージによる貪食を回避する役割を担っている1,2)。白血病造血幹細胞や固形癌細胞はマクロファージの貪食による免疫監視機構を逃れるため,CD47を高発現させていることが報告されている3)。このように,SIRPA-CD47系シグナルのバランスの変化はマクロファージによる免疫監視を破綻させ,種々の病態を引き起こすことが予想される。本項ではCD47発現低下と血球貪食症候群について概説する。
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