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●p18とmTORC1経路
p18(公称LAMTOR1)は膜ミクロドメインに局在する分子量18 kDaの膜アダプター様蛋白質である1)。N末端に付加されたミリスチン酸およびパルミチン酸を介して膜にアンカーし,N末端近傍のdiLeuモチーフを介して後期エンドソームおよび成熟したリソソームに特異的に局在化する。元来,Srcによってリン酸化される蛋白質として同定された分子であるが,保存された機能ドメインやモチーフを持たないことなどから,フレキシブルな構造をとるスカフォールド蛋白質として機能すると考えられている。特異的な相互作用分子として,MP1/p14というMAPK経路のMEK1のスカフォールド蛋白複合体2),およびmTORC1をリソソームにリクルートして活性化するために必須のGTP結合蛋白質RagA/Cが同定されている3)。これらのことから,p18がMAPK経路およびmTORC1経路を後期エンドソーム/リソソームにリクルートするための必須の足場蛋白質として機能することが明らかとなっている。
MAPK経路は細胞の増殖シグナルの伝達で重要な役割を担い,一方のmTORC1経路は蛋白質や脂質など細胞素材の合成を誘導することにより細胞の成長,生存,オートファジーなどを制御する根幹的なシグナル経路として知られている(図1)。p18の構造的なホモログは酵母にも存在し,酵母のTOR経路をリソソーム様オルガネラ(バキュオール)に局在化して機能することも報告されていることから,p18による制御が真核生物の進化の過程で極めて重要な意義を持つことが示唆されている4)。では,こうした重要な経路がなぜ後期エンドソームやリソソームに特異的に局在化する必要があるのであろうか。われわれはその疑問に答えるべくp18複合体の後期エンドソームやリソソームにおける機能解析を進めている。本稿ではその概要を紹介する。
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