Japanese
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実験講座
ゴルジ装置の分離とその細分画
Isolation of Golgi apparatus and its subfractionation
日野 幸伸
1
Yukinobu Hino
1
1九州大学医学部生化学教室
pp.72-80
発行日 1980年2月15日
Published Date 1980/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903372
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はじめに
ゴルジ装置はおそらくすべての有核細胞に存在し,他にない複雑で独特な外観を呈する細胞内小器官である。
ゴルジ装置は図1のように模式的に描くことができる1)。中央にはプレート様構造が位置し,その周辺には綱目状に織り重なった小管によるネットワーク(tubular network)がとりまいている。プレート様構造の領域はcisternaeあるいはflattened sacと呼ばれており,超薄切片像において,末端部分が膨らんだ平滑な扁平嚢として観察される。数枚の桶平嚢が平行に並び重なって図に示すような層板状を呈している。ネットワークを構成する小管は超薄切片像において,扁平嚢の周辺に散在する小円形状のゴルジ小胞(Golgi vesicle)として観察される。cisternaeはimmature face(forming face,convex face,cis faceとも称される:図では上のcisternae)からmature face(secretory face,concave face,trans faceとも称される)に向けて成長する。mature face側のネットワークを構成する小管の末端からはゴルジ空胞(Golgi vacuole)が形成され,分泌されるべき物質がここに選択的に濃縮されるため,超薄切片像ではVLDLを含む比較的大きな構造として観察される。
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