特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
2.小胞体
小胞体ストレスと骨格発達
村上 智彦
1
Tomohiko Murakami
1
1Department of Genetics and Complex Diseases, Harvard School of Public Health
1Department of Genetics and Complex Diseases, Harvard School of Public Health
pp.380-381
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101322
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●多様性を有する小胞体
三つの小胞体ストレスセンサーIRE1,PERK,ATF6は全身の各臓器に発現しており,どの細胞においても一様に小胞体ストレスに対して応答できると考えられる。一方,実際の哺乳細胞では細胞種ごとに生体内での役割が異なり,その役割に応じて小胞体に加わる負荷は異なる。特に,大量の分泌タンパク質を産生する分泌細胞の小胞体には強い負荷(生理的小胞体ストレス)がかかる。この生理的ストレスに対する応答は骨格発達などの生体制御に関係することが報告されている。
骨格発達とは骨軟骨の形成であり,骨,軟骨はそれぞれ骨芽細胞,軟骨細胞によって構築される。骨芽細胞は骨基質タンパク質(Ⅰ型コラーゲンなど)を,軟骨細胞は軟骨基質タンパク質(Ⅱ型コラーゲンなど)を合成・分泌する。骨芽細胞および軟骨細胞は大量のタンパク質分泌に対応するため,非常に発達した小胞体を持つ。
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