特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
2.小胞体
小胞体ストレスと加齢性疾患におけるメタロチオネインの関与
佐藤 政男
1
,
川上 隆茂
2
,
門田 佳人
2
,
鈴木 真也
2
Masao Sato
1
,
Takashige Kawakami
2
,
Yoshito Kadota
2
,
Shinya Suzuki
2
1前徳島文理大学 薬学部 教育センター
2徳島文理大学 薬学部 公衆衛生学
pp.382-383
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101323
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●加齢性疾患と小胞体ストレス
加齢は遺伝的要因と生活習慣などの環境要因により進行し,不十分な防御と修復により恒常性維持喪失や細胞死が徐々に起こる。内的,外的要因が加わり異常進行した状態が加齢性疾患といえるが,各臓器に特徴的な疾患が起こる。そのうちで脳・心血管性疾患や糖尿病などのリスクとしてメタボリックシンドロームが挙げられ,動脈硬化,インスリン感受性低下やがん発生率が高まる。加齢進行リスクとして酸化的ストレス仮説があり,多くの疾患と活性酸素との関係が論議されてきたが,近年,小胞体ストレスの寄与が報告されている。過剰な小胞体ストレス状態が肥満を基盤とする加齢性疾患や加齢性神経変性疾患などの内在的要因,さらには,外因性要因によっても発現する。しかし,加齢と小胞体ストレス応答の関係は不明な点が多い。内因性,外因性の小胞体ストレス過剰発現抑制による疾患予防の視点が必要となる。
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