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特集 小脳研究の課題(2)
脊髄小脳変性症の分子病態機序と治療への展望
Future directions of molecular targeted therapy for spinocerebellar degeneration
辻 省次
1
,
市川 弥生子
1
,
伊達 英俊
1
,
後藤 順
1
Shouji Tsuji
1
,
Yaeko Ichikawa
1
,
Hidetoshi Date
1
,
Jun Goto
1
1東京大学大学院 医学系研究科 脳神経医学専攻 神経内科
pp.51-55
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101259
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脊髄小脳変性症は運動失調を主症状とする神経変性疾患の総称である。これまで脊髄小脳変性症の病因は不明であったが,1980年代に開始された分子遺伝学的研究の飛躍的発展により,遺伝性脊髄小脳変性症の多くについて病因遺伝子が発見され,神経細胞変性の分子機構の解明が進み,分子標的治療研究が活発に展開されている。一方,孤発性脊髄小脳変性症については現在でもその病因,病態機序は不明であるが,次世代シーケンサーを用いた大規模なゲノム解析研究により,その手がかりが得られるのではないかと期待されている。
このように脊髄小脳変性症の病態機序に関する研究の成果に基づき,疾患の進行を阻止する根本的な治療法の実現も夢ではないと考えられるようになってきている。近い将来,脊髄小脳変性症の進行を防ぐような分子標的治療法が実現した場合,その効果を臨床治験(clinical trial)により確認していく必要がある。臨床治験をデザインするうえで,脊髄小脳変性症の自然歴,特に症状の進行についての縦断的な前向き研究の蓄積が今後重要になってくる。
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