Japanese
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特集 コピー数変異
DNAコピー数異常に基づいたテント上グリオーマのサブグループ分類
Subgrouping of supratentorial gliomas based on DNA copy number aberrations
廣瀬 雄一
1
Yuichi Hirose
1
1藤田保健衛生大学 脳神経外科学講座
pp.565-569
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101244
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脳腫瘍とは頭蓋内に発生する新生物の総称であり,したがってその発生起源となる細胞は脳を構成するニューロン,グリア細胞のほか,神経鞘細胞(末梢神経である脳神経を覆う),髄膜,血管,骨および頭蓋内には存在しないはずのリンパ組織や生殖細胞に由来する腫瘍も含まれる1)。したがって脳腫瘍は組織学的に非常に多岐にわたる腫瘍を含むものであり,遺伝学的異常も様々なものがあると考えられている。ただし,手術による根治あるいは臨床症状進行の抑止が可能な良性腫瘍に関しては遺伝学的解析の有用性が乏しいため,遺伝学的異常に関する知見の多くは治療困難な神経膠腫(グリオーマ)を対象としたものであり,そのなかでも最も悪性度の高い膠芽腫に関するものが大部分を占める。
そもそもグリオーマの治療方針は病理組織学的診断によって決定されるが,同一の診断分類に含まれていても症例間に臨床経過や治療反応性が異なることがまれならずあり,組織診断の方法に問題があるのではないかということは病理診断医からも問題提起されてきた2)。すなわち腫瘍の発生起源や悪性度の判断が病理医の間で必ずしも一致しないことがあり,また,診断そのものが困難である症例も多いことが治療方針の決定のうえで問題であり,これを解決すべく組織学的に観察すべき点を明確にして,壊死,核異型,分裂像,血管増生の有無により簡易に腫瘍の悪性度を判定する試みなど,形態学的分類による予後判定の発達が追求されてきた3)。
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