特集 細胞核―構造と機能
8.その他
テトラヒメナの二つの核
沼田 治
1
Osamu Numata
1
1筑波大学大学院 生命環境科学研究科
pp.504-505
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101230
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
テトラヒメナやゾウリムシなどの繊毛虫は小核と大核の2種類の核を持つ。2種類の核を持つ生物は広い生物界の中で繊毛虫類だけである。テトラヒメナ(Tetrahymena thermophila)は原生生物界,アルベオラータ門,繊毛虫亜門,貧膜口綱,膜口亜綱,ミズケムシ目に属する体長50μm,幅30μmの単細胞生物で,体表にある多数の繊毛によって遊泳運動を行う。池や沼などに棲息し,細胞前方にある口部装置で餌を食胞に取り込んで吸収分解する。大核は直径約10μmで細胞の中央に存在する。小核は直径約1μmで大核の表面にあるくぼみにはまり込んでいる。本稿ではテトラヒメナの小核と大核について,構造と機能,分裂様式,大核分化の仕組みなどについて紹介する。
Copyright © 2011, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.