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特集 筋ジストロフィーの分子病態から治療へ
筋ジストロフィーと血管拡張制御
Muscular dystrophy and modulation of vasodilative functions
安原 進吾
1
Shingo Yasuhara
1
1ハーバード大学 医学部 シュライナー小児病院
pp.138-141
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101127
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筋ジストロフィーの中でも代表疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy;DMD)は,dystrophin遺伝子の変異に起因する単一遺伝子疾患である。病理学的には骨格筋細胞の破壊と再生を繰り返しながら,数年にわたって筋力低下などの病状が進行することが知られている。筋破壊のメカニズムに関しては多くの病態生理モデルが提唱されてきたが,中でも,血流調節異常が関与しているとする「血流理論」の研究の潮流は,近年,新たな薬理学的治療への可能性を提示してきた。本レビューでは筋ジストロフィー研究における血流理論の歴史と,5型フォスフォジエステラーゼ(PDE5)阻害剤による治療研究の最新の知見,その臨床応用に向けての将来的な課題などを取り上げたい。ここでは,筋ジストロフィーの中でも最も研究の歴史が古く,代表疾患であるDMDを中心に取り上げるが,その他の筋ジストロフィーに関しても,末尾段落で言及する。
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