Japanese
English
特集 細胞死か腫瘍化かの選択
RASドメイン含有タンパクRASSF2による腫瘍化抑制機構
Molecular mechanisms of anti-tumor activity of RAS association domain protein,RASSF2
豊田 実
1
,
丸山 玲緒
1
,
時野 隆至
2
Minoru Toyota
1
,
Reo Maruyama
1
,
Takashi Tokino
2
1札幌医科大学 生化学講座
2札幌医科大学 附属がん研究所 分子生物学講座
pp.590-593
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101088
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Rasはヒト腫瘍において最も高頻度に活性化している癌遺伝子であり,細胞増殖や細胞形質転換などに関与するシグナルを制御する。一方で,正常細胞で恒常的なRasの活性化を起こすと,細胞は細胞老化やアポトーシスを起こし,Rasが細胞増殖を正にも負にも制御することが示唆される。Rasにはその機能を制御する様々なエフェクター分子が存在する(図1)。BRAFやPIK3CAなどのエフェクター分子はしばしば癌において点突然変異により活性化されている1,2)。RASの負のエフェクターとして,RASSFファミリー遺伝子が存在する。RASSF1は肺癌において高率に欠失している染色体3番短腕p21領域に存在する癌抑制遺伝子として同定された3)。RASSF1は腫瘍増殖を抑制する働きがあるだけでなく,様々な癌においてプロモーター領域の異常メチル化により不活化されている。本稿では,RASSFファミリー遺伝子,特にRASSF2について,癌における不活化の意義や腫瘍抑制の分子機構について概説する。
Copyright © 2010, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.