Japanese
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特集 プロレニン―レニン・アンジオテンシン系(RAS)の最近の話題
糖尿病とRAS
Renin-angiotensin System and Diabetes Mellitus
浦 信行
1
,
滝沢 英毅
2
,
田中 繁道
3
Nobuyuki Ura
1
,
Hideki Takizawa
2
,
Shigemichi Tanaka
3
1手稲渓仁会病院総合内科
2手稲渓仁会病院腎臓内科
3手稲渓仁会病院循環器内科
1Department of General Medicine, Teine Keijinkai Hospital
2Department of Nephrology, Teine Keijinkai Hospital
3Department of Cardiology, Teine Keijinkai Hospital
pp.275-283
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101441
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はじめに
糖代謝においてレニン・アンジオテンシン系(RAS)は重要な役割を担っている.その機序としては,インスリン分泌に対する作用とインスリン感受性に対する作用の両者がある.これらが,糖尿病の発症,進展を介して臓器障害を惹起するが,RASによるインスリン感受性の低下,すなわちインスリン抵抗性は,糖尿病のみならず,高血圧,脂質異常症の共通の遺伝的背景因子であるため相互に合併しやすく,メタボリックシンドローム(MetS)を形成する.RASはインスリン抵抗性を増悪するが,一方でインスリン抵抗性はRASの活性を亢進させて悪循環を引き起こし,MetSや糖尿病を発症・進展させながら動脈硬化性疾患の発症を惹起する.
RASは糖尿病の糖代謝以外の病態にも密接に関連し,最近注目される(プロ)レニン受容体や,アンジオテンシン変換酵素(ACE)2-アンジオテンシン(Ang)-(1-7)系を含めて,糖尿病における大血管障害,細小血管障害の発症・進展に関与すると考えられる.
本稿では,これら糖尿病の病態に対するRASの関与,RAS抑制薬による治療の意義を概説したい.
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