特集 シナプスをめぐるシグナリング
10.スカフォールドタンパク
S-SCAM/MAGI2
畑 裕
1
Yutaka Hata
1
1東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 病態代謝解析学
pp.494-495
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101061
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グアニル酸キナーゼ(GK)ドメインをもつ膜裏打ち蛋白はmembrane-associated guanylate kinase(MAGUK)と総称される。多くのMAGUKではGKドメインはC末端にあるが,N末端にGKドメインをもつinverted typeのMAGUKがヒト3番,7番,1番染色体上にコードされ,MAGUK with inverted orientation(MAGI)1,2,3と呼称されている。MAGI2は断片配列がatrophin-1結合候補分子として報告され,引き続き全長がラット脳の興奮性シナプス裏打ち蛋白SAPAP/GKAPの結合分子として同定され,synaptic scaffolding molecule(S-SCAM)と命名された。マウスではactivin受容体結合分子ARIP1として報告された。MAGI1,MAGI3が広い臓器分布を示すのに対して,S-SCAMはほぼ神経細胞特異的と見られるが,腎臓糸球体スリット膜や腸管上皮に局在するという報告もある。腎臓糸球体スリット膜に関する報告はMAGI1との混同の可能性が除外できない。線虫,ショウジョウバエでは,それぞれ一つのみMAGIがあり,magi-1とMagi/Imaと呼ばれている。線虫のmagi-1には「1」の番号が割り振られているが,後述のように神経細胞にも発現しているので,哺乳動物のMAGI1に特異的に対応しているわけではない。S-SCAMには少なくとも三つのsplicing variants(S-SCAMα,β,γ)がある。
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