特集 シナプスをめぐるシグナリング
7.キナーゼ/ホスファターゼ
Ephによるシナプスの形成と可塑性の制御機構
新谷 隆史
1
,
野田 昌晴
1
Takafumi Shintani
1
,
Masaharu Noda
1
1自然科学研究機構 基礎生物学研究所 統合神経生物学研究部門
pp.468-469
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101052
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受容体型プロテインチロシンキナーゼ(RPTK)の一つであるEphは,これまで主に軸索のナビゲーションにおいて機能する分子として研究されてきた。しかしながら,最近になって,Ephとそのリガンドであるephrinがシナプスの形成と成熟,さらに可塑性においても重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。
Ephは14のメンバーから成り,RPTKの中で最大のファミリーを形成している。他のRPTKには見られない特徴が,リガンド分子のephrinが細胞膜に結合した状態で存在することである。このため,Eph-ephrin系は細胞同士が接触する際に機能する情報伝達系といえる。EphとephrinはともにAタイプとBタイプに大別され,例外はあるが同じタイプ同士のephrinとEphが結合するという規則性がある。Ephは樹状突起およびスパインに多く分布し,一方ephrinが前シナプスやアストロサイトに分布することから,シナプスの形成と機能発現における両者の相互作用の生理的意義について解析が行われた。
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