Japanese
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特集 SNARE複合体-膜融合の機構
シナプス小胞の開口放出におけるシナフィンの機能
Function of synaphin/complexin in synaptic vesicle exocytosis
得丸 博史
1
,
清水-岡部 千草
1
,
阿部 輝雄
2
Hiroshi Tokumaru
1
,
Chigusa Shimizu-Okabe
1
,
Teruo Abe
2
1徳島文理大学 香川薬学部
2新潟大学 脳研究所 細胞神経生物学分野
pp.247-251
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100992
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脳には1000億個以上の神経細胞(ニューロン)が存在する。ニューロン同士は“シナプス”で接続し,学習や記憶に必要な神経回路を形成している。学習とは経験によって神経回路が可塑的に変化することであり,この変化が維持されることが記憶である。したがって,学習や記憶のメカニズムを理解するためには,シナプスの情報伝達機構を明らかにする必要がある。
ニューロンの興奮が神経終末に到達すると,開口した電位感受性Ca2+チャネルを通して外液中のCa2+が神経終末内に流入する。流入したCa2+はシナプス小胞とシナプス前膜の迅速な融合を誘導し,小胞内の神経伝達物質を細胞外に開口放出させる(図1)。シナプス小胞の開口放出(エキソサイトーシスとも呼ばれる)の特徴は,1)Ca2+による厳密な制御と2)驚異的なスピード(~1ミリ秒)である。
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