Japanese
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特集 ユビキチン化による生体機能の調節
CDKインヒビターp21の分解による細胞周期の制御
The cell cycle control system depends on degradation of CDK inhibitor,p21
塩見 泰史
1
,
西谷 秀男
1
,
釣本 敏樹
2
Yasushi Shiomi
1
,
Hideo Nishitani
1
,
Toshiki Tsurimoto
2
1兵庫県立大学大学院生命理学研究科生体情報学Ⅱ講座
2九州大学大学院理学研究院統合生物学講座
pp.527-532
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100942
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細胞周期は,CDK/サイクリン複合体による周期特異的な因子の活性化と不活性化,進行過程に必要な因子の合成と不要になった因子の速やかなユビキチン化による分解がバランスよく機能して安定に進行する。この過程でのユビキチン化は大きく分けて二つのユビキチンリガーゼ,SCF複合体とAPC/C複合体によって制御されている。SCF複合体はG1期からS期,またはG2期にかけて機能するサイクリンやCDKインヒビターなどの因子のユビキチン化を行い,APC/C複合体はM期サイクリンやセキュリンなどのM期進行過程で機能する因子を標的としてユビキチン化を行う。さらに,Cul4-DDB1からなる複合体が細胞周期進行に加えて,DNA損傷が起きた場合に周期進行関連因子のユビキチン化を行うことが明らかになってきた。CDKインヒビターはCDK/サイクリンの阻害因子として機能し,細胞の異常時に周期の停止,または過剰な増殖を抑制することで細胞のがん化を防ぐ重要な因子である。したがって,CDK/サイクリンと同様にCDKインヒビターもその発現と分解が正確に制御されなければならない。本稿では,CDKインヒビターの一つであるp21に着目して,その細胞周期やストレスに応答した役割と,分解制御において最近明らかになってきた多様なユビキチンリガーゼの関わりについて概説する。
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