特集 伝達物質と受容体
4.ペプチド
オピオイド
PETによる脳内σ1受容体の定量
坂田 宗之
1
,
石渡 喜一
1
Muneyuki Sakata
1
,
Kiichi Ishiwata
1
1東京都健康長寿医療センター研究所神経画像研究チーム
pp.464-465
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100920
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[用いられた物質/研究対象となった受容体]
11C-SA4503/σ1受容体
●σ1受容体とPET
σ受容体はオピオイド受容体のサブタイプとして存在すると考えられていたが,その後は多くの神経受容体とは異なった新規のタンパク質であることが明らかになった。少なくとも2種のサブタイプが存在し,中枢から末梢組織まで広く存在していている。近年の研究によれば,σ1受容体は主として小胞体上に存在する223アミノ酸からなる25kDaの膜2回通貫型のタンパク質であり,中枢神経系では神経細胞のほか,アストロサイト,オリゴデンドロサイト細胞にも発現する。
その機能としては,急性的にはイオンチャネルの活性を調整することで神経細胞の興奮性を調整し,慢性的には受容体発現の増加でシナプス,ミエリン形成の活性化を誘導することが明らかになってきた1)。Positron emission tomography(PET)は,生体内に投与した超短半減期のポジトロン核種で標識した放射性薬剤の動態を体外からPETカメラで計測し,薬剤の動態モデルに基づいた解析により,生体内の生化学的,生理学的情報を計測する。われわれはσ1受容体の選択的アゴニストのSA4503(1-〔3,4-dimethoxyphenethyl〕-4-〔3-phenylpropyl〕piperazine)の4-methoxy基を11C(半減期20.4分)で標識したリガンドにより,初めてPETによるヒト脳のσ1受容体の計測に成功した2)。
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