Japanese
English
特集 脳と糖脂質
アルツハイマー病と糖脂質異常
Glysphingo abnormality in Alzheimer's disease
武藤 多津郎
1
,
河村 直樹
1
,
島 さゆり
1
,
植田 晃広
1
,
三原 貴照
1
,
朝倉 邦彦
1
Tatsuro Mutoh
1
,
Naoki Kawamura
1
,
Sayuri Shima
1
,
Akihiro Ueda
1
,
Takateru Mihara
1
,
Kunihiko Asakura
1
1藤田保健衛生大学医学部神経内科学
pp.222-227
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100848
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アルツハイマー病(AD)をはじめとする認知症性疾患は,高齢化社会を迎えた現代社会にとって緊急に克服すべき疾患として大変注目を集めている。しかし,その病因・病態の全容解明までにはまだ長い道のりが予想されている。家族性本症(FAD)の原因遺伝子が同定され,またそれらのトランスジェニック動物モデルが樹立された現在でも,本症でなぜ神経細胞が細胞死をおこすのか,シナプス機能および形態の異常がなぜ引き起こされるのかなどの根源的な問いに対する明確な答えをわれわれは持っているわけではない。
一方,最近の神経糖鎖生物学の発展から,神経組織を特徴づける大量に分布するガングリオシドをはじめとする糖脂質が,細胞内外のコミュニケーションを効率的に行わせるためのシグナリングプラットホーム(脂質ラフト)を形成し,スムーズな情報交換を行うのに極めて本質的な役割を果たしていることが明らかになっている。本稿では,こうした個々の糖脂質やその総体としての脂質ラフトの観点から,本症の病態を再検討し,新たな治療法開発の可能性を探ってみたい。
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