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連載講座 中枢神経系におけるモジュレーション・11
マウス大脳皮質感覚野の経験による修飾
Modulation of mouse sensory cortices by experience-dependent plasticity
澁木 克栄
1
,
吉武 講平
1
,
駒形 成司
1
,
塚野 浩明
1
,
大島 伸介
1
,
渡邉 健児
1
,
任海 学
1
,
菱田 竜一
1
Katsuei Shibuki
1
,
Kohei Yoshitake
1
,
Seiji Komagata
1
,
Hiroaki Tsukano
1
,
Shinsuke Ohshima
1
,
Kenji Watanabe
1
,
Tohmi Manavu
1
,
Ryuichi Hishida
1
1新潟大学脳研究所システム脳生理学分野
pp.75-80
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100827
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脳の神経回路は経験により活動依存的な修飾を受け,最終的に完成する。この現象は解析が容易な大脳皮質感覚野で盛んに解析されている。遺伝子改変操作は経験依存的可塑性の分子機構を研究する上で重要な手段である。しかし,遺伝子改変操作が容易なマウスの高次脳機能の解析は限定的であり,高次脳機能が詳しく解析されている霊長類の遺伝子改変操作は困難である。このジレンマを解決するため,われわれは経頭蓋フラビン蛋白蛍光イメージングによってマウスの皮質活動を可視化し,経験依存的可塑性を含む高次脳機能の解析に取り組んでいる。神経活動は酸素代謝の亢進を起こし,ミトコンドリア電子伝達系のフラビン蛋白を酸化型にする。酸化型のフラビン蛋白は緑色自家蛍光を発するので,この内因性蛍光シグナルを用いた脳活動のイメージングが可能となる1,2)。マウスでは頭皮を切開するだけで透明な頭蓋骨越しに大脳皮質を観察できるため,内因性フラビン蛋白蛍光シグナルを用いた大脳皮質活動の経頭蓋イメージングが可能である(図1)。われわれは,経頭蓋蛍光イメージングによって,マウス視覚野,聴覚野,体性感覚野の経験依存的可塑性の解析を進めている。
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