Japanese
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実験講座
蛍光スペクトル顕微鏡
Multispectral imaging fluorescence microscopy
平岡 泰
1
,
志見 剛
1
,
原口 徳子
1
Yasushi Hiraoka
1
,
Takeshi Shimi
1
,
Tokuko Haraguchi
1
1通信総合研究所関西先端研究センター
pp.562-569
発行日 2003年12月15日
Published Date 2003/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100802
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ヒトゲノムプロジェクトに代表されるゲノムサイエンスの発展は,生物学のあり方を大きく転換させたといっても過言ではない。以前は,生体から生理活性を頼りにその機能を果たしている生体因子を分離して,ついにはDNAやタンパク質の一次配列を決定するという分析的な方法が主流であった。しかし,これからの生物学は,すでに既知となっているDNA塩基配列から読み出される多くの機能未知のタンパク質を,細胞や生体システムに統合して,生物システムを理解していく必要がある。そのような時流の中で,一つの方法論として活躍してきたのが,蛍光顕微鏡を使った細胞内局在の解析である。
蛍光顕微鏡法の特長は,特定の分子だけを選択的に蛍光で染めて観察するため分子特異性が高く,細胞という複雑な構造の中で,特定の分子の挙動を解析できる点である。その上,生きた細胞での観察も可能なために,その分子がいつ,どこにあるかの,そしてその局在がどのように変化していくかを生物(または細胞)を生かした状態で知ることができる。GFP(green fluorescence protein)の発見は,このような蛍光顕微鏡法に革命的な進展をもたらしたといえるだろう。特定のタンパク質をGFPを使って簡単に蛍光標識し,観察することができるようになったのである。一方で,蛍光観察に用いる蛍光顕微鏡装置も大きな発展を遂げた。光学的な改良やソフトウエアの改善が多くなされ,蛍光顕微鏡による生きた細胞での局在解析は誰でもが可能な範囲となってきた。
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