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連載講座 個体の生と死・32
高齢期における精神神経変化
Cognitive change in old age and clinical aspects of dementia
宇野 正威
1
Masataka Uno
1
1吉岡リハビリテーションクリニック
pp.634-640
発行日 2004年12月15日
Published Date 2004/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100661
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高齢期にはいると,身体各器官と共に脳神経系もさまざまな様式で老化し,感覚・運動機能から高次神経機能・精神機能の全ての面に多くの変化が生じる。その変化が生理的変化の範囲であれば自立した生活を全うできるであろうが,病的過程が加われば自立は困難になる。高齢期に入っても,豊富な知識を保持しつつ,社会で活躍している人も少なくはない。しかし,多くの人は高齢になるにしたがい記憶力の衰えを自覚し,新しい知識を吸収する力と意欲が減退する。また,身体疾患の罹患と環境変化からうつ症状を呈することも少なくない。
本稿では,まず高齢期における精神神経機能の生理的変化について述べ,ついで高齢期にはいると増加する痴呆性疾患,とくにその初期症状との関連に焦点を当てる。生理的老化と痴呆性疾患との境界領域をどのように捉え,いかに対応するかは,高齢期の精神保健の観点から深く関心の持たれている課題である。
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