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解説
比較ゲノム解析を通して見たヒトゲノム構造
Analysis of the human genomic regions differently conserved among human, chimpanzee, mouse and rat lineages
坂手 龍一
1,2
,
今西 規
2
Ryuichi Sakate
1,2
,
Tadashi Imanishi
2
1バイオ産業情報化コンソーシアム生物情報解析研究センター統合データベース解析チーム
2産業技術総合研究所生物情報解析研究センター統合データベース解析チーム
pp.58-62
発行日 2006年2月15日
Published Date 2006/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100212
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細胞分裂の際に核内でDNAが凝集した状態が染色体であり,男性は(1-22,X)と(1-22,Y),女性は(1-22,X)を2セットの,計46本の染色体をそれぞれ持つ。この(1-22,X,Y)の全24種類の染色体を構成する約30億塩基対がヒトゲノムとして配列決定され, 2004年に完了宣言が出された1)。タンパク質をコードする遺伝子は約25,000と予測されているが,それらはヒトゲノム全体の約3%を占めるに過ぎない。現在ではタンパク質をコードしない転写産物が多数存在し,重要な働きをすることがわかってきた。また,単純な繰り返し配列やレトロポゾン(転移因子)配列などが,ヒトゲノムの半分近くをも占めることが知られている。ゲノム配列が決定されたとはいえ,その膨大な塩基配列が持つ生物学的な意味については大部分が未知のままである。
このようなヒトゲノム構造を詳細に理解するための一つの方法として,バイオインフォマティクスの手法による比較ゲノム解析が行われるようになってきた。ヒトゲノムのうち,他生物と共通して持つ領域(保存領域),または持たない領域(非保存領域)を同定することで,それらの領域の機能的意味合いを探る手がかりを得ることができる。本稿では,われわれの行った比較ゲノム解析の手法とそれによって得られたヒトゲノムの構造に関する知見について紹介する。
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