特集 タンパク質間相互作用
5.遺伝情報の発現
高親和性IgE受容体遺伝子の発現制御におけるタンパク質間相互作用
高橋 恭子
1
,
羅 智靖
2
Kyoko Takahashi
1
,
Chisei Ra
2
1日本大学生物資源科学部食品科学工学科
2日本大学大学院医学研究科分子細胞免疫アレルギー
pp.386-387
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100073
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高親和性IgE受容体(FcεRI)は,アレルギー反応の誘導において鍵となる役割を果たす。マスト細胞上に発現するFcεRIに結合した抗原特異的IgEが対応する多価抗原により架橋されると,ヒスタミンの放出などの様々な応答が引き起こされる。したがって,このマスト細胞の活性化の過程を制御することができれば,アレルギー疾患の治療・予防に向けて非常に大きな貢献となることが予想される。実際に,この過程の分子機構の解明を目指して多方面から数多くの研究が行われている。その中で,現象をゲノム情報の発現の観点から捉え,マスト細胞の活性化に関連する遺伝子の発現の時間的・空間的変化およびその制御機構を明らかにすることは一つの有効な戦略であると考えられる。本稿では,特に,FcεRIをコードする遺伝子の発現制御機構について,この特集のテーマであるタンパク質間相互作用という観点から現在までに研究されているところを概説したい。
FcεRIはα鎖,β鎖,およびγ鎖の3種類のサブユニットから構成される。このうち,α鎖はその細胞外領域でIgEのFc領域と結合する。一方,β鎖とγ鎖は細胞内へのシグナル伝達を担うサブユニットである。これらのサブユニットのうちα鎖とβ鎖について,それぞれの遺伝子の発現制御機構を以下に順に取り上げることとする。
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