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特集 シナプス後部構造の形成・機構と制御
スパイン形成とシナプス後部アクチンの特殊化―ドレブリンの関与
Involvement of drebrin in dendritic spine formation and postsynaptic actin specialization
高橋 秀人
1
,
白尾 智明
1
Hideto Takahashi
1
,
Tomoaki Shirao
1
1群馬大学大学院医学系研究科高次細胞機能学
pp.103-107
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100014
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中枢神経系において,興奮性シナプス(グルタミン酸作動性シナプス)の約9割は樹状突起から伸びる大きさ1ミクロン程度の小突起上に形成されている1)。この小突起を樹状突起スパインとよぶ。樹状突起スパインの大きさとそのスパインが持つシナプス伝達効率には強い相関がある2)ことから,樹状突起スパインがどのように作られるかは,脳機能の発達・成熟にとって重要な問題となっている。
スパインは脳の発達過程で特徴的な形態変化を示す。生まれたばかりのネズミの脳の神経細胞樹状突起には,フィロポディアと呼ばれる細長い先細りの突起が多数存在する(図1左)。フィロポディアは運動性が高く,軸索との接触をシナプス形成期に盛んに行う。そして,生後2週頃から,頭部と頚部を持つキノコ状のいわゆる成熟したスパイン(図1右)(以下,この成熟スパインをスパインと呼ぶ)が急激に増加し始める3)。では,一体どのようにしてスパインが形作られていくのだろうか。最近のタイムラプスイメージングの研究成果などから,樹状突起フィロポディアと軸索との物理的接触がシナプス結合の始まりであり,軸索と接触したフィロポディアがスパインへ変化すると考えられている4)。しかし,スパインへ変化する途中のフィロポディアの実体はどのような小突起なのか,さらには,フィロポディアからスパインへの形態変化がどのような分子機構によって担われているのかは不明であった。
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