Japanese
English
特集 神経回路の計測と操作
単一スパインでの情報伝達の可視化
Imaging signal transduction in a single dendritic spine
西山 潤
1
,
安田 涼平
1,2
Jun Nishiyama
1
,
Ryohei Yasuda
1,2
1デューク大学メディカルセンター
2マックスプランク・フロリダ研究所
pp.9-13
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101405
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神経細胞間の接続部であるシナプスにおいて,一つの神経細胞は1,000-10,000個の入力を受け,それらの情報を軸索に出力する。ほとんどの興奮性神経細胞の入力はスパインと呼ばれる0.1 fl以下の小さな突起様構造で受け取られ,シナプスにおける情報伝達の機能単位となっている。
シナプスの長期増強(long-term potentiation;LTP)は記憶・学習の細胞モデルであり,その分子機構はこれまで盛んに研究されてきた。現在では,神経活動に伴ってスパインへCa2+が流入することが引き金となり,Ca2+/Calmodulin kinase Ⅱ(CaMK Ⅱ),Ras,Rho,Rabなどのsmall GTPase,extracellular signal-related kinase(ERK)など,多数の分子が関与することがわかっている。しかし,従来の生化学的手法では時間的・空間的な制約が大きく,一つのスパインに入力された信号がどのような機構でLTPに変換されていくのかほとんど明らかにされていなかった。本稿では単一スパインでの情報伝達の可視化を可能にするイメージング技術の進歩,およびそれによって明らかになったシナプス可塑性の時空間制御機構について述べる。
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