Japanese
English
特集 意識―脳科学からのアプローチ
脳の直接刺激の意識への作用―意識障害に対する脳刺激療法
Neurostimulation for the consciousness disturbance patient
加藤 正哉
1
,
渡辺 英寿
1
Seiya Kato
1
,
Eiju Watanabe
1
1自治医科大学脳神経外科
pp.11-20
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100003
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末梢神経から高次機能と呼ばれる能力まで,すべての神経活動の基本は電気的信号伝達である。ヒトを始めとして,神経回路の中で実際に行われている電気的な情報伝達は,様々な種類の神経伝達物質を介して複雑にしかし効率よく営まれているが,膜電位のレベルまで突き詰めれば,物理的な電気回路の組み合わせで説明できるはずである。
1950年代の動物実験で,脳内に電極を留置し,自らの脳を電気刺激することができる実験系を作ると,特定の部位を刺激した時に,好んで刺激を求めることが報告された1)。この事実を説明する考え方として,脳内の特殊な部分には,電気刺激によって快楽を生ずる報酬効果が存在するとされ,自己刺激法(self-stimulation)と報酬系(reward system)の概念が生まれた。ヒトでも脳を直接電気刺激することによって類似した効果が得られることが報告されたのは1960年代であり2,3),この考えに基づいて,脳深部刺激療法(DBS:deep brain stimulation)という治療手段が提唱され,現在まで脈々と続けられている。
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