Editorial
不可逆から治療可能な病態へ—CKD診療の新時代
山本 伸也
1
,
柳田 素子
1
1京都大学大学院医学研究科腎臓内科学
pp.231
発行日 2026年3月15日
Published Date 2026/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510360030231
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世界では腎疾患を有する患者が8億人を超え、慢性腎臓病(CKD)は、糖尿病や心血管疾患と並び世界的に重大な健康課題と認知されるようになりました。腎臓病に関する病態理解が進み、新規薬剤が次々と開発され、腎臓病診療がパラダイムシフトを迎えています。このような背景から、CKDは、従来考えられていた“不可逆的に進行する疾患”という位置づけから、“早期介入により予後改善が可能な慢性疾患”へと捉え直されています。その潮流を受け、2023年には日本腎臓学会から『CKD診療ガイドライン』が、2024年には『KDIGO CKDガイドライン』が改訂され、CKD臨床の変革に目が離せません。
本特集は、CKDの基礎から臨床応用までを体系的に解説し、実臨床に役立つ知識とスキルの習得を目的としました。最新の知見や臨床現場での具体的な症例を盛り込むことで、実践的な内容となっています。特に、CKDの全体像を理解する総論から、糖尿病や心疾患、血液疾患、がん、COVID-19、遺伝疾患など、多岐にわたる臨床場面における各論まで、幅広く網羅しています。さらに超高齢社会におけるマネジメントや、最新の薬物療法、腎毒性物質のアップデートも取り入れております。CKD診療において日々の課題に直面した際、身近な参考書として多くの先生方に手に取っていただけることを願い、『慢性腎臓病大全』と名付けました。本特集が、皆さまの診療の一助となり、患者さんのQOL向上と適切なコンサルテーションを実現し、より良い患者ケアにつながることを心より願っております。

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