特集 攻めの安全処方術—引き算処方+多面的アプローチ
【疾患・愁訴編】
❻—差がつく! 不眠・不安への引き出し❷—心理療法的アプローチ
坂田 昌嗣
1,2,3
,
新野 青那
4,5
1名古屋市立大学大学院 医学研究科 こころの発達医学寄附講座
2京都大学大学院 社会健康医学系専攻 健康増進・行動学分野
3筑波大学高等研究院(TIAR) 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
4富山大学 学術研究部医学系 医学教育学講座
5名古屋大学大学院 医学系研究科 総合医学教育センター
キーワード:
認知行動療法
,
全般不安症
,
パニック症
,
心配延期法
,
内部感覚曝露
,
睡眠制限療法
Keyword:
認知行動療法
,
全般不安症
,
パニック症
,
心配延期法
,
内部感覚曝露
,
睡眠制限療法
pp.1168-1172
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350101168
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不安や不眠といった症状は、プライマリ・ケア領域においてきわめて頻度の高い愁訴であり、診断名がつかない段階でも患者にとって大きな苦痛となる。その背景には生活環境の変化、人間関係の不和、身体疾患との関連など多様な要因が存在し、画一的なアプローチが通用しないことも少なくない。
一方で、これらの病態に対して、構造化された心理療法的アプローチ[特に認知行動療法(cognitive behavior therapy:CBT)]の有効性に関して、これまでエビデンスが蓄積されている。複雑な背景をもつ患者でも、不安や不眠といった単純な要素に絞って治療を行えば、症状や生活機能全般が改善することがわかっている。国際的なガイドラインにおいて、心理療法は不安症や不眠症の第一選択治療とされる場合も多く、効果も薬物療法と同等1)か、それ以上2)であることが示されている。

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