特集 攻めの安全処方術—引き算処方+多面的アプローチ
【総論編】
❺処方管理への患者積極性を高めるには?
家 研也
1
1聖マリアンナ医科大学 川崎市立多摩病院 総合診療内科
キーワード:
患者積極性
,
服薬アドヒアランス
Keyword:
患者積極性
,
服薬アドヒアランス
pp.1135-1137
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350101135
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに—処方は誰のもの?
「処方は医師の仕事」とされてきた時代も過ぎつつあり、近年は患者の関与が特に重視されている。なかでも、多剤併用の見直し(deprescribing)は、医療者主導で薬をやめることではなく、患者と医療者の間での双方向性のやりとりを通じた動的なプロセスであることが繰り返し強調されている1,2)。2021年のメタアナリシスによれば、患者の87.6%と介護者の74.8%が、担当医から勧められれば減薬に応じる意向を示した3)。このことからも、まずは医療者側が処方の見直しに向けた対話を始めることの重要性が窺える。
もっとも、減薬はあくまで患者と医療者との相互作用のなかで起こるものであり、最終的な決定権は患者にある。したがって、日常診療において処方管理に対する患者の態度や、減薬を妨げる要因・促す要因を理解することが、現実的かつ効果的な介入を設計するうえで不可欠となる。
では、患者側の処方に対する態度や価値観の多様性を、われわれはどのように理解できるだろうか?

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.