投稿 総合診療外来・在宅
離島診療所を受診したアルカリ外傷症例が、D to D 眼科遠隔診療で治癒した一例
清水 映輔
1,2,3
,
西村 裕樹
1,2,3
,
ロハン ケムラニ
1,2
,
中山 慎太郎
2,3
,
岩瀬 翔
4
Rohan J Khemani
1,2
1医療法人 慶眼会 横浜けいあい眼科 和田町院
2OUI Inc.
3慶應義塾大学医学部 眼科学教室
4青ヶ島村国民健康保険 青ヶ島診療所
pp.815-817
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350070815
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視覚は五感の中でも重要な感覚であり、視力の低下や視覚障害は日常生活に大きな影響を及ぼす。しかし眼科診療は地域格差が大きく、特に遠隔地や医療過疎地では十分な眼科診療を受けることが難しい1)。その背景には眼科診療における専門知識と専門的な医療機器の必要性が挙げられる2)。また眼球は直径24 mmの小さな組織であり、正常所見や異常所見だけでなく、前房深度や眼軸長(それぞれ急性緑内障発作のリスクや、近視にかかわる)の距離や、隅角の角度(狭偶角だと、閉塞隅角症や閉塞隅角緑内障のリスク)をμm単位で計測する精度の高い医療機器が不可欠であり、これらの医療機器は高価で据置型のものが多いため導入が難しいという問題もある2)。
そのため従来の眼科診療においては、患者が眼科の医療機関に通院し、眼科専門医による診察を受けることが当然とされてきたが、島嶼部や医療過疎地など通院が難しい地域では、適切な眼科診療が行われず、たとえば前医より処方された点眼薬が漫然と使用されるなどの問題が生じている3)。こうした課題に対して、ポータブルの眼科医療機器と遠隔診療を組み合わせることが解決策の1つとなる可能性を秘めている。

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