特集 —初診・救急外来で出合う—精神疾患と間違えやすい内科疾患
【各論】
Case 9 けいれんの精査目的で入院後に敗血症が疑われ、ロラゼパムで寛解した50代男性
赤澤 佳香
1
,
久村 正樹
2
1岡山赤十字病院 臨床研修センター
2岡山赤十字病院 救急部第二救急科
キーワード:
けいれん
,
自律神経症状
,
急性症候性発作
Keyword:
けいれん
,
自律神経症状
,
急性症候性発作
pp.294-297
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350030294
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CASE
患者:53歳、男性。
家族歴:特記事項なし
現病歴:仕事中に全般性強直性間代性けいれんが5分間生じ、A病院に救急搬送された。病着時にはけいれんは頓挫していた。ぼーっとした様相で、意識はGCS(Glasgow Coma Scale)E4V4M6、他のバイタルサインに大きな異常はなかった。その後15分ほどでGCS E4V5M6に回復している。血算でヘモグロビン平均赤血球容積(MCV)108fLであった。頭部CT検査では明らかな新規頭蓋内病変はなく、血液ガス検査ではけいれんの結果としての代謝性アシドーシスがあった。けいれんの原因が不明で精査加療目的に入院となった。
入院当夜に大声で叫ぶ、病室から出ようとするなど不穏となった。発汗著明で呼吸数30回/分、脈拍数140回/分、体温は38℃となり、感染症によるせん妄を疑った。血算では白血球9,800個/mm3、生化学ではCPK 125IU/Lと軽度上昇していた。血液検査とCTで全身を画像検索したが明らかな感染巣はなく、身体抑制して経験的に抗菌薬を開始した。翌朝に「壁に虫が見える」などと訴えたため精神科にコンサルトすると、ロラゼパムが開始となった。7日後、不穏はなく意識清明となり、身体的にも問題なく退院となった。

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