特集 —知ってるつもり? 知らなきゃいけない?—新語・新概念辞典
【新語・新概念(アルファベット順)】
MRD(minimal residual disease)
諫田 淳也
1
1京都大学大学院医学研究科 血液内科
キーワード:
白血病
,
微小残存病変
,
MRD
,
測定可能残存病変
Keyword:
白血病
,
微小残存病変
,
MRD
,
測定可能残存病変
pp.184-185
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350020184
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◦微小残存病変・MRDとは
急性白血病患者には、発症時、約1兆個の白血病細胞(芽球)が存在する。治癒を目指すためには、可能な限り白血病細胞を減少させる必要がある。白血病の完全寛解(complete remission:CR)の評価として、古くから、光学顕微鏡下において骨髄中の芽球が5%以下であり、かつ血球数回復(好中球数>1,000/μL、血小板数>100,000/μL、かつ輸血を必要としない)を認める血液学的寛解(hematological CR)が用いられている。芽球5%以下の根拠は、光学顕微鏡下において正常芽球と異常芽球を正確に判別するのは困難であること、正常芽球は一般的には5%以下であることにある。血液学的寛解に到達しても、10億個以下の白血病細胞が残存していると考えられているが、残存している白血病細胞の量に応じて再発リスクが変わることは想像に難くない。
白血病細胞をより正確に同定できる方法として、フローサイトメトリー法、リアルタイム(RT)-PCR法、次世代シークエンス法が開発された。特に0.1〜0.0001%の感度で腫瘍量を評価したものを“微小残存病変”(minimal residual disease:MRD)、最近では“測定可能残存病変”(measurable residual disease:MRD)と呼んでいる1)。
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