特集 ホスピタリストのための精神科の知識
はじめに|精神科的問題に適切に対応するための実践的ガイド
松木 隆志
1
Takashi MATSUKI
1
1Department of Psychiatry, Icahn School of Medicine at Mount Sinai
pp.645-646
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120040645
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避けて通れないが,対応に苦慮する問題
精神科的問題は,内科系・外科系医師が日常診療のなかで最も対応に苦慮する問題の1つとして挙げられる。この点については,多くの臨床医が異論を唱えないであろう。身体科医が病棟管理の過程で最も頻繁に遭遇する器質性精神症状であるせん妄はもちろん,気分障害や不安障害,統合失調症,発達障害,パーソナリティ症などの一次性精神疾患も,特定の診療科にとどまらず,あらゆる医療現場で遭遇し得るものである。
精神疾患の有病率は,地域や統計手法により一定の差異を示すものの,一般人口において20%を超えるとされ,身体科の入院患者では50%以上に達するとの報告もある。このように,精神疾患は身体科医にとって日常臨床で避けて通ることのできない課題である。また,精神症状を呈する器質的身体疾患と一次性精神疾患,さらには身体症状を呈する一次性精神疾患と器質的身体疾患との鑑別は,臨床上,極めて重要である。
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