特集 ホスピタリストのための精神科の知識
【コラム④】精神科で使用する薬剤と心電図のQTc延長—患者背景にある追加リスク因子に注意する
鄭 素怡
1
,
松木 隆志
2
Soi JEONG
1
,
Takashi MATSUKI
2
1横須賀共済病院 精神科
2Department of Psychiatry, Icahn School of Medicine at Mount Sinai
pp.752-754
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120040752
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精神科臨床で頻繁に使用される薬剤のなかには,心電図のQTc延長との関連が指摘されているものがある。QTc延長は,トルサードドポアント(TdP*1)などの致命的な心室性不整脈のリスクと関連しており,注意が必要である。特に,FDA(米国食品医薬品局)が2002年にziprasidone*2,2011年にシタロプラムについてQTc延長の可能性を警告して以来,リスクの高い患者への薬剤処方に対する慎重な姿勢が広まっている。一方で,抗うつ薬や抗精神病薬は精神疾患の治療において非常に重要な役割を担っており,過剰に使用を制限することは患者の治療選択肢を狭める可能性があるのも事実である。
本稿では,心電図のQTc延長のリスク因子,リスクとなる薬剤とその使用時のモニタリング方法を整理し,安全かつ有効な精神科領域の薬剤使用について考察する。

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