特集 薬物治療の質向上
Part 3 薬物治療の質向上のために必要なスキルおよび考え方
14.患者への薬剤に関する説明と患者エンゲージメント—患者が病気とどう共存していくかに大きくかかわる
平田 一耕
1
Ikkou HIRATA
1
1亀田総合病院 薬剤部
pp.391-402
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120020391
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
薬は治療の大きな部分を占め,病気の状態から健康な状態へ,ウェルビーイングな状態への移行を助ける1)。医師や薬剤師を含む医療者が薬の適正使用に努めることは,病気の治癒,コントロールにとって重要である。
初療から急性期に関しては明確な医療目標があり,薬物治療は事前指示書に沿って,もしくはインフォームドコンセントを行って父権的に行われる2)。一方で慢性疾患では,薬物治療を行いながら病気とどう共存するかが重要になる2)。慢性疾患とうまく共存するためには,患者のエンゲージメントを高める必要がある。
患者エンゲージメントとは,WHOでは「患者,家族,介護者,医療提供者の能力を構築するプロセスを指し,患者が自身のケアに積極的に関与することを促進・支援する」3)とされる。AHRQ*1の病院の質と安全性における患者と家族の関与に関するガイドライン4)では,「患者エンゲージメントを高めることにより,提供される医療の質と安全性,ならびに患者中心のケアが向上する」と,その重要性が提言されている。
本稿では,薬物治療の質向上のために,患者への薬剤に関する説明と患者エンゲージメントを促進するスキルおよび手法について解説し,今後の展望にもふれる。

Copyright © 2025, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.